デート(?!)〈前編〉
ソウ、撮影の休憩時間。楽屋で見るともなしに雑誌をみていた。スイーツ特集があった。
どうしても、食べてみたい。お取り寄せが出来ない店のようだ。
「マネージャー、今日はこの撮影終われば仕事上がれるんだよね。」
「ああ、今日はこれで終わりのはずだ。実家に帰るんだろ?ゆっくり休めよ。」
「アッサー(앗싸 ! よし!」
自分のスマホでお店を検索して保存した。
撮影が終わり、食事の誘いも断り、さっさと帰宅した。
「アキラ、ヒョンがおいしいものをご馳走してあげる。
ほら、おいしそうだろ。」先ほど保存しておいた画像をみせた。
アキラの目が輝き始めた。
「男同士で行くのもなんだからさ。な、アキラ。
ラフな格好でいいからさ。おっ、この格好ならちょっとメイクするだけでいい感じだよ。
な、2人で違うもの頼めば分けっこできるだろ。
なっ、アルマ~♡」
よし、釣れた♪
店の近くの駐車スペースに車を止めた。車の中でソウがお店のサイトで何を注文しようか考え中。食べたいものが多くて迷っている。ここはカッコよくサクッと注文したい。
車内から外を見ていたアキラが言った。
「人、たくさん いるね。」
「ん~ああ。賑やかな所だからな。」
「ヒョン。」チュッ
「え?おい、なにするんだよ。(なんだ?一瞬頭の中がスパークしたような…)
「保険。」
「はぁ?」
店内に漂う甘い香りにわくわく顔のアルマ。彼女に仕方なく付いてきてやった感を出しながら席に座った。
狙いをつけた2種類のアラモードを注文。
顔では「そんな甘い物よく食べれるよな。」と、言わんばかりだ。が、
内心は、がっつきたくて仕方ない。かき込んで食べてしまいたいと思っている。
アキラが食べている方も気になる。アキラの口元についたクリームを仕方なく指で拭ってあげるフリをして舐めてみた。
「(うんっまーーーい!)」
耐えろ。顔に出すな!
俺のイメージってものがあるんだよ。バレてはないとは思うんだが、芸能人には大切なんだよ。
こっちのと全然ちがうぞ。こっちはバニラクリームであっちはチーズクリームじゃないか。
その感じが、甘ったるいものを耐えているように見えたのだろう。
店員が水をつぎ足していってくれた。
「ヒョ……オッパ、あ~ん。」
(アキラ、なんていい弟なんだ、ヒョンは幸せだ~)
「いいから、お前食えよ。」
(どうせくれるなら、もうちょっと大きく取れってば。)
「やめろよ、恥ずかしいじゃないか。しょうがないなぁ…」
パクリ
(うわーうわーーーーー!口中天国だ!たまんねえ…)
「アキ…アルマ、こっちのも食べるか?」
(ちょ、交換しようぜ。)
「うん!!」
(持ってくなよ。あげるんじゃない。交換だよ交換!)
結局、アキラの前に2つの皿が並び、一口食べるごとに、ソウに大きめに取って「あ~ん」してくれる。
傍目的には甘い物が苦手な彼氏に無理に食べさせて面白がっている彼女の図。
完全に熱々の恋人同士だ。。。
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