デート(?!)〈中編〉
堪能しきってお会計。
レジ横のショーケースのケーキが気になる。
「アルマ、妹達とアルムのオモニにお土産でもどうだ?好きだろ?」
周りに聞こえるような大きめの声で聞いた。
そうです。俺が食べるんじゃないんです。
「あ、すいません。ケーキをお土産で10個ぐらい見つくろってもらえるかな?」
(家でゆっくり食べようぜ。お前2個で俺8個ね♪)
店員が色紙を出してきた。
「あの、パク・ソウさんですよね。ファンです。サインいただけますか?」
バレてた。店の外を見ると、明らかにファンだと思われる人影がある。
(まずい、俺だけなら、逃げ切れると思うが、アキラは……)
「お土産、やっぱり、いいです。サインしますから、この子、裏口から出してもらえませんか?」
アキラに地図アプリ見せながら説明する。
「…いいか、ここの裏口から出たらここを通って、ここらへんで落ち合おう。ゆっくり歩いておいで。とにかくファン達をまいて行くから。」
「うん、わかった。気を付けて。」
アキラの頭をぐりぐり撫で、ソウが店から出た。
「きゃー!パク・ソウだ!!」
「キャーキャー」
車まで、ファンに行く手を阻まれながらも何とかたどり着いた。
ここでアキラの見事なまでの方向音痴が披露された。
「えっと、こっちだったよな」
アキラは反対方向に歩いていく。
おいしかったな、あのケーキ。
お土産ほしかったのにな。残念。
今日はヒールじゃないし、歩きやすいな。
夜のお散歩だー♪
などと、呑気なことを思いながらもどんどん反対方向に歩いていくアキラ。
ニコニコしながら一人で歩いているアルムの愛らしさはやはり目立っていた。
「ねぇ、独りなの?一緒に遊ばない?」
数人の男子グループが声をかけてきた。
「しないです。」
「あれ?言葉おかしいぞ。へぇー……」
囲まれてしまった。
人気の無い方に追い込まれていく。
怖くなって携帯を出すものの、あっさりと取り上げられてしまい、電源を切られてしまった。
「誰に電話するの?今からオッパ達と遊ぶんだからかけなくていいの。kkk」
「(ソウヒョン、怖いよ。)」
この時、ソウは約束の場所に向かって車を走らせていた。
なんだ、あいつら。ナンパか……
関わりたくないナンギルが気配を消して通り過ぎようとしていた。
「(!アジュシだ!!) ナンギル……オッパ―!!!」
えっ? オレ今気配消してるはずだぞ。誰だ?
半泣き状態の女の子が胸に飛び込んできた。
誰だよ。ちょ、離れろよ。
ナンギルが引き離そうとするも、必死にしがみついてくる女の子。
「アジュシ……助けてください。」
消え入りそうな声だ。
顔を上げた女の子だと思った小物体をみてナンギルが驚いた。
アキラ?!
ナンギルのひと睨みで男達はそそくさと逃げて行った。
アキラ?だよな。なんだ、この感じ。女の子みたいじゃないか。
で、なんでオレが「オッパ」なんだ?
「アジュシ呼ぶイヤした。ヒョンはダメ、オッパ呼ぶ 言われてる。」
あぁ、この格好の時はオッパって呼ぶように言われてるんだな。
深くは詮索しないでおこう……
だからってオレにまで使わなくてもwww
「僕、迷子です。(つд⊂)エーン」
よく迷うヤツだな。泣くな。落ち着け。
とにかくここに座って。
グスングスン「はい。」
背中をトントンしてあげるナンギル。
「ありがとです。」
だんだん落ち着いてきたアキラが、ふとナンギルの首元を見た。
「オッパ、ここホクロ。僕 一緒。」
ナンギルの首元には変わった形のホクロのようなアザがある。
「一緒」と言ってアキラは鎖骨の下まで服を下げた。
白い肌があらわになる。
本当だ。よく似てる。。。珍しいこともあるもんだ。
男だとはわかってはいるが、その雰囲気でそのしぐさはやめてほしいもんだ。
そうだ、なにか飲むか?
ナンギルが自販機に飲み物を買いに行った。
「ソウヒョン、心配してるかな?」
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