雨に濡れて 【R18】

急に降り出した雨の日。
アキラが迎えの車と行き違いになって、ずぶ濡れで店まで来た日。
親切に店まで一緒に来てくれた青年と別れ、アキラを店に入れた。
タオルで頭を拭かせ、体もブランケットで包んで、カウンターの席に座らせた。
「おまえなー……」
「ミアネヨ、ヒョン……」

自分一人で来れたと、驚かしたかったのに、逆に心配をかけさせてしまったという申し訳なさが、伝わってくる。

迎えに行った者から見当たらないと連絡が入った事をソジュンヒョンが受け、店に向かっているようだと俺に伝えてきた。
まだ、独りで出歩いたことがないあいつが、まさかとは思ったが、アキラの気配が近づいてくるのを感じた時は驚いた。

成長したな…… ホント、俺の小さな弟だ。

クシュン……

小刻みに体が震え、かなり体が冷え始めているのが分かる。
「こまったな、店には着替えがないし、できれば暖かいシャワーでも浴びさせたいんだか。」
「僕、ケンチャナ。ヒョン、なんか 暖かい 飲むもの ください。」

いや、飲み物だけでは回復できそうもないぞ。

「店長、ちょっと今日、店頼めるかな。」
「はい、オーナー。大丈夫ですよ。曜日的に僕らだけでも回せる日ですから。弟さん、早く着替えさせてあげてください。」
「悪いな。……みんなもよろしく頼むよ。」
「「はーい!」」
店の従業員たちもいいヤツばかりで助かる。
俺に手を引かれながら、アキラも皆にペコペコと頭を下げて店を出た。

アキラを車に乗せ、俺のオフィステルに向かった。
実家に行くよりも近い。

服をひっぺがし、アキラをシャワールームに突っ込んだ。
「アキラ、しっかり温まって出てこいよ。バスローブ、ここに置いておくからな。」
「はい、ヒョン。ありがとです。」
アキラの服は乾燥まで仕上げる設定で洗濯機に入れた。

「うわっ!」
  スデン!!
『イテテ……』
「!どうした?!」

音に驚いて俺はシャワールームの扉を開けた。
「僕、転びました。ハハ、今日 僕 よく転ぶ……」

しりもちをついた格好で床にいるアキラの上から湯気を上げながらシャワーが落ちている。
滴り落ちるしずくと前髪の間から見上げてくるアキラの目。
傷痕の残る色の白い肌。
温まってきたのか、恥ずかしいのか、うっすら頬が上気してピンクに染まっている。
色気に思わず見入ってしまった。

「ヒョン、見る しない ほしい。僕の体 醜い……」

「何を言っているんだ。そんなことはない。お前はきれいだ。」

自分の不自由な体。同性という事実。伝わってくるお前が必死に止めている俺への感情。

俺の箍タガが外れた。
アキラを抱きしめ、唇を奪った。
俺は夢中でアキラの体を求めた。

「ヒョン、僕、あの……///」
「大丈夫だ。俺に任せろ。」

俺だって男を抱くのは初めてだが、もう、止まらなかった。

苦痛と感じる窮屈さに耐え、シーツをきつく握りしめながらも、俺を受け入れていることに喜びを感じでくれているお前が愛しい。

俺の下でアキラを揺らしながら、俺にもこんな愛情がある事に驚いた。

朝日の中、俺の腕の中で眠っているアキラを見ていた。

なんだろう、やけに体が軽い。
女性を抱いた時のような、朝の気だるさがまったくない。
逆に今までの疲れが吹っ飛んでいる感じだ。

『……う~ん、ヒョン、水、お水……』
「ああ、水ね。」
声がかすれている。ちょっと、喘がせすぎたかな……ここはお約束だろう。俺が口に含んで飲ませる。

……元気がみなぎってきてしまった。

「///ヒョン、時間 ない。僕、今日 学校……」
「心配するな。車で送ってやる。実家からより、ここからの方が近いんだぞ。」

結局、時間ぎりぎりになり、急いで朝食を済ませ学校まで送った。
食べたいというから用意したが、朝食にケーキをがっついているアキラを見て、この体の調子と言い、お前がなにか能力を使ったのではないかと心配をした。

アキラが車から降り、振り返って手を振っている。
付属高校の女子生徒がアキラを見つけ、色めき立っているのがわかる。
それに気づいたアキラは照れくさそうに、そそくさと校門に入っていった。

へえ~、結構人気あるんだ。
かわいいだろ~。悪いな。俺のだ。

そう言えば、あの青年もアキラを気に入ったような感情が見えたな。
諦めろ。俺のだ。

ずっと、傍にいればいい。
店を一緒にやっていけばいい。
子供が欲しくなったら養子をとろう。
女の子がいいかな。イヤ、男の子?
2人いてもいいな。
お前と暖かい家庭にしていこう。

ジウンは柄にもなく将来設計までしていた。


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